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童貞・非モテ大学生時代のリビドー日記書庫

リストカッター物語

桜の季節。
ついにこの日が来たんだ。長きにわたる受験生活を乗り越え、僕はようやくここに立っている。
名門リストカット大学正門、通称赤門前。
辺りには健一と同じ新入生と思われる初々しい、どこか似合わないスーツ姿の男女が数多く見られた。
「これから四年間、よろしくお願いします。(すんなり行けばの話だけど。)」
健一は大学に向かって、そしてこれから共に学んで行くであろう仲間たちに向かって、心の中で礼をした。
そして一度深く深呼吸したあと、一瞬表情を強ばらせてから、健一は緊張したおぼつかない足取りで赤門をくぐった。
満開の桜の木。その花吹雪が健一達新入生を歓迎していた。


健一は入学式の行われるホールに向かう前に、どうしても訪れておきたかった場所があった。
そこはキャンパスのちょうど中心、校舎棟に囲まれた位置にあった。
様々な樹木に囲まれ、ベンチや自動販売機なども充実しており、憩いの場所として、リスカ大生はよく待ち合わせに使っているスポットだった。
そこの中心には池があり、噴水の代わりに、コンクリートブロックの中から一本の巨大な左腕が天高く突き上げられていた。
それは、リスカ大創始者、初代学長の左腕だった。
剃刀によって深く何度も何度も切りつけられた左腕は、大部分の肉がそがれ、骨が削れ、まるで彫刻だった。
その腕には大まかに3つ区切られ、三段重ねのトーテムポールのような姿をしていた。
一番上の顔は上斜めに切りつけられた傷跡が目、力強く、太く横に引かれた傷跡が口と、まるで怒っている顔のように見えた。
真ん中の顔は下斜めの傷跡、弱々しくも歪んだ口によって泣いているように見え、
一番下の顔はカーブを描いた傷跡によって笑っているように見えた。
この左腕はリスカ大の象徴として、校章にも用いられている。
毎年馬鹿な学生が金色にスプレーをしたり、ハゲかつらをかけたりといたずらの対象にされるのであるが、
そのたびにそれぞれの顔がまるで涙を流すように、傷跡から血が滴り落ちるという現象が観測されている。
これは神秘でも何でも無く、コンクリの下にうもれている初代学長が未だに生命活動を続けているというただそれだけの理由である。
ドクドクと鮮血を吐き出し続けるその左腕を見て、健一の心臓は高鳴った。
この腕の下には初代学長が未だに息をし続け、その心臓は力強く新たな血液を生み出し、それが傷跡から噴出し泉に注ぐ。
初代学長が引退し、噴水となることを決意してから百年つづいているこの血液の、生命の循環。
健一は正式なリスカ大生になる前に、もう一度その姿を目に焼き付けたかったのだ。


現学長の挨拶とリストカットが終り、島田という男子学生が入学生代表として左手首にリスカ大の校章と同じ川の字にリストカットをした後、
歓迎の催しが始まった。
トップバッターは三三七拍子のリズムに合わせて手首を掻き切るリスカ大応援部。
汗と鮮血を飛ばしながら一生懸命に手首を掻ききる学ランの男達の姿に、健一は同じ男として尊敬を感じた。
続いて現れたのはリスカ大OBでプロのミュージシャン葉山太郎がだった。
思わぬ大物の登場に一瞬会場が騒然となった。
しかし葉山が壇上に上がり左腕を高らかに上げ、剃刀を当てたその瞬間、会場は打って変わって静まり返った。
短いが永遠にも感じられる沈黙の後、葉山は剃刀を引いた。
ジャッジャジャジャジャーンジャッジャジャージャージャジャジャーン
地底湖の静まり返った水面に岩雪崩が落とされたような、そんな風景が思い浮かんだ。
激しいリズムとストロークで、吹き出る大量の鮮血。
かと思えば急に静かに、優しくゆっくりと、しかし奥深くまで切りつけたりする。
その抑揚のつけ方に、健一は心を奪われた。
葉山はストロークの強弱と同時に、左手を握ったり開いたりすることによって血管の太さを調節し、飛び出る血液の量を変えたり
時には静脈からトロリ、時には動脈からブシュッと、様々な演奏を披露した。


約10分ほどの演奏が終り、葉山が出血多量で担架に載せられて運ばれた後、リスカ大入学式はナアナアに終わった。
会場を後にする行列に続いて外に出ると、
見たところ2年生だろうか、すっかり今時の若者といった風体の女性が自分のサークルの紹介ビラを配っていた。
「入学式のあとは広場で新入生歓迎コンパやってまーす。サークル紹介もそこでやってるのでぜひ来てくださいね!」
受け取ったチラシを見ると、エクストリームリストカッティングサークル、新入部員募集中と書いてあった。
聞いた事のないスポーツだなと思い解説を見てみると、どうやら、
冬山の山頂や上空3000mからのスカイダイビング中などの極限状態でいかに美しくリストカット出来るかを競うスポーツであることが判明した。
健一は今まで運動部というものに所属したことがなく、いわゆる体育会系の上下関係などを面倒くさいと思っていたので
そのチラシをこっそりとゴミ箱に捨てると、様々なサークルがビニールシートを広げて新入生歓迎にかこつけて酒をあおっている広場へと向かった。
本来はサークルなどに所属せず、己のリストカットを極めるつもりであった健一の心を変えたのは先程の葉山の演奏だった。
自分もあんな風になりたい。
健一はリストカット大学血管弦楽団のスペースを探して歩いていた。


しつこい勧誘や酔っぱらいをかわしながら10分ほど歩き回り、すべてのサークルをチェックしたのだが、血管弦楽団のスペースは見当たらなかった。
ふと目の前にスーツ姿ではない、大人っぽく話しやすそうな印象の男性を見つけ、健一は血管弦楽団はどこにいるのかと尋ねた。
「管弦?今日は来てないみたいだよ。入学式で演奏もしたけど、葉山太郎みたいな有名人を輩出してるサークルだからね、積極的に勧誘する必要もない大手には来てない所もあるんだ。」
「そうなんですか・・・残念です。また大学が始まってから直接訪ねてみます。」
「そうだね、それがいいよ。そうだ、君これから予定はある?折角来たんだから僕たちの所にも顔を出してみないかい?」
帰ろうとした健一の肩に手を当てて、男がそう言った。
「大丈夫。無理やり入部、なんてことは絶対ないし。ウチはおとなしい奴らばっかりだからアルハラもセクハラも絶対にしないよ。まぁちょっと顔を見るだけでもさ。可愛い子もいるよ」
健一の顔に一瞬不安が過ぎったのを見逃さなかった男は、即座にフォローを入れた。
本当は帰りたくてしょうがなかったが、カワイイ子というフレーズに健一の心は揺れ動き、結局男に着いて行くことになった。
「僕たちのサークルでは究極のリストカットを研究してるんだ。もちろんリスカ大に入るってことは誰しもリストカットに興味はあるし、授業でも大抵のことは教えてくれる。
だけど僕たちの求めているのは学校で教わるようなリストカットじゃない。究極のリストカットなんだ。」

健一はいまいち男の言っていることが理解できなかった。
「あの、究極のリストカットって一体どういう事なんでしょうか?」
大人しそうな男の目に一瞬炎が宿った。


「君、リストカットはしてるよね?普段どんな風にやってる?今ここでやってみてよ。」
いきなりの展開に驚いたが、そこはもうリスカ大生。
健一は右ポケットから愛用の剃刀を取り出すと、左手首に横一文字に刃を走らせた。


男はその一連の動作を真剣なまなざしで見届けるとふぅとため息をついてこう言った。
「そんなのはリストカットじゃない。来てご覧。本当のリストカットというものを教えてあげるよ。」
男は見一の左手首をぐいと掴むと、自分たちの団体のスペースへと走り出した。


健一は何が何だか分からないといった顔でつれられていったが
その時頭にあったのは左手首からにじみ出る血が、新しく買ったばかりのスーツにボタボタと垂れてシミが出来ていることの心配だった。


男のサークルには2,3分してたどり着いた。
青いビニールシートの上では4人の男女が談笑しているところだった。
そのウチの一人の女子がコチラに気づいたようで
「あっ先輩、どこ言ってたんですか、まってたんですよぅ〜」なんて人懐っこい甘えたような声を出した。頬はほんのりピンク色に染まっていた。
「花澤くん、もう完全に酔っ払っちゃってるね・・・って皆顔真っ赤じゃないか。全く・・・新入生もいるっていうのになんという体たらくだ。」
やれやれ、すまんねと男は申し訳なさそうに健一に目配せをした。
「新入生!?先輩、もう一人捕まえてきたんですか、さすがデスね凄いです!」
花澤と呼ばれた女子は、新たな仲間との出会いに興奮を抑えられない様子でぴょんぴょんと跳ねた。
「まぁまぁ落ち着きたまえ、彼は正式に入部するとは決まったわけじゃないんだから。」
男は相変わらず落ち着いた様子でたしなめた。


「さて、これから彼には僕らが目指す究極のリストカット。といってもまだ全く試作段階の域を出ていないのだけれど。を体験してもらおうと思う。」
男は酒の入ったクーラーボックスの隣の子箱から歯ブラシのような何かを取り出した。
「いったい何なんですか、その道具は・・・剃刀には見えませんが・・・」
健一が素直な疑問を口に出した瞬間、男の顔は待ってましたとばかりにニヤリと笑い答えた。
「それが、剃刀なんだな。これが僕たちの作り出した歯ブラシ型剃刀さ。よく見てごらん、毛先がすべて細かな剃刀になっているんだ。」
よく目を凝らしてみると、確かにそれは歯ブラシではなく、何千、何万本ものミクロな剃刀が刺さって出来たブラシだった。
「そしてなんと、これは電動なんだ。」
スイッチを上にあげると、カチッと言う音がして、ブラシのヘッド部分が高速に回転し始めた。


電動歯ブラシ型剃刀。これが僕らの究極のリストカットへの第一歩、試作品さ。さぁ、よぉく見て感じてくれ、究極のリストカットの片鱗を!」
そう言って男は高速回転するブラシを口の中に突っ込んだ。
まずギュイーンという音、ガガガガガガと固いものが削れる音が聞こえそしてジュジュジュジュという、ミキサーで自家製のバナナミルクを作る時と同じ液体がかき混ぜられる音が聞こえた。
男の口からは粉々になった歯と、舌や歯茎などの肉片、そして大量の血液がドボドボとこぼれ落ちた。
その姿はシンガポールの噴水を思い起こさせた。


「どう?うちのサークル、ステキでしょ。」
口内を切り刻み鮮血マーライオンに夢中になっている男に見取れていたら、いつの間にか花澤と呼ばれた女が側に立っていた。
「入ってみない?ウチに入ったらもっと素敵で凄いリストカットに挑戦出来るよ。」

全然リストをカットしてないじゃん、なんてツッコミが頭を離れなかったが
花澤先輩があまりにもその豊満なおっぱいを押し当ててくるので健一は入部を決めた。


しかし、その数時間後、勢い余って剃刀ブラシを飲み込んでしまい内臓がミンチになって死亡した先輩の死体を運ぶ際に
花澤さんの乳首が無い事に気づいたので予定通り血管弦楽団に入部し直し、健一は一流のミュージシャンとして後世に名を遺すこととなった。

VS歩きタバコ編

深夜0時30分頃、アルバイトの帰りに大門くんは歩いていました。
常服している精神安定剤を飲み忘れた上に、
自分のモテ要素のなさ、気持ち悪さ、常識のなさに彼の心はボロボロでした。
いっそ死んでしまいたいとは思いつつも来月のハガレンが気になって死ぬことはできません。
右手に持った快楽天と、今週のラストイニングだけが彼を支えていました。
これがなければ彼は今すぐパンツから小象をこんにちわさせてF市内をかけめぐっていたことでしょう。


今日は何故かiPhoneの調子が悪く、Podcastで馬鹿力が聞くことが出来ません。
いつも世界から彼を守ってくれるはずの豚面DJのトークも、軽快な音楽もありません。
ふと公園を見てみると自転車を置いて側の芝生に寝転んでいる男性が居ました。
帰るところがないのか、一晩留めてくれる佐藤さんが見つからなかったのか、はたまた死んでいたのかはわかりませんでしたが
近づいておしっこをぶっ掛けることはせず、遠まきに通り過ぎました。
背後から話し声が聞こえました。それは凄い勢いで近づいてきます。
暗闇から僕の側を横切ったのは、妙にハンドルの位置が高い所にある自転車に跨り、携帯電話片手に通話していた男性でした。
「死ね」
自転車の彼の姿が豆粒くらいの大きさになってから大門くんはボソリとつぶやきました。


(キミが好きだと)叫びだしたい衝動と、四足歩行で50mほど走りながらF市の森公園の合鴨が泳いでる池に飛び込んで
砂漠でオアシスを見つけた旅人ゴッコをしたい衝動を、今週のHUNTERXHUNTERに対する期待で掻き消し、
フラフラと千鳥足で、時折舌をだらしなく垂らしながらK街道沿いの歩道を歩いていました。


横断歩道で信号待ちをしていると、向こう側にオレンジ色の光が見えました。
口に加えて煙を吐き出すだけで30人の女を抱くことが出来るでおなじみのタバコです。
そうです、その男は歩きタバコをしていたのです。
僕の怒りは頂点に達しました。
僕はこんなに中途半端にブサイクでお金がもらえないくらいに不幸なのに。
家に帰って快楽天でオナニーする、それまでの間だけでも何事も無く平穏に時は過ぎてはくれないのか。
僕の心の中のモンキーな部分が爆発しました。
すれ違いざまにウヒョーと奇声を上げた僕はそのまま街路樹にかじりつきました。
ガジガジといったのですがあまり美味しくはアリマセンデシタ。
それだけでは僕の衝動は収まりませんでした。
かまって欲しいブサイクの僕はtwitterでこんな発言をつぶやいたのです。
「あるきたばこやめろおれがいえかついておなにーするまでおこらせないでおねがい」
全文平仮名、誤字脱字の訂正無しという、一見してあっこの人怒ってる。
もしくは、黒の組織に謎の薬を飲まされて知能が幼稚園児レベルにまで退化してしまったんだな、とわかるつぶやきです。
僕は250にんものフォロワーを持つ有名人でございますから、一つや二つくらいは慰めの返信があるんじゃないか、
それが僕がオナニーするまでの時間の平穏を取り戻してくれるのではないか、このつぶやきにはそんな淡い期待が込められていたのです。


気を取り直した僕はコンビニに立ち寄りました。時刻はもう深夜1時に近づき、月曜日発売の週刊漫画雑誌は棚に陳列されていました。
一息着いた僕は隣で臭い息を吐き出しながらジャンプを読む青年を横目に軽くバカにしつつ、スピリッツを手に取りました。
ラストイニング、ザワさん、土竜の唄、等などを軽く流し読みしてから、ジャンプに手をつけました。
隣の青年はいまだ臭い息を吐きながらジャンプを熱心に読んでいます。どうやら新連載が始まっていたようでした。
僕は目次でHUNTERXHUNTERのページを確認して、一発で開き、HUNTERXHUNTERを読み終えました。
総立ち読み時間は5分を超過してしまいました。古本屋店員である一面を持つ僕は、立ち読みと言う行為のもたらす
様々なマイナス効果を十分に理解しているつもりです。すんません、立ち読みさせてもらいました。代わりになんか買ってきます。
これが僕のコンビニ店員に対する礼儀でありポリシーでもあるのですが
商品の入荷に来ていたお兄さんと親しげに、お仕事上の立場以上に親しげに、ていうかもう付き合ってるだろってくらいに親しげに話す
女店員を見て僕は何も買わずにコンビニを出ました。自動ドアを出て振り返ると、息の臭い彼が買い物カゴを片手に何かを商品を手にとっている姿が目に入りました。


再び携帯電話を取り出してついったーを見てみると、先程のつぶやきに返事が返ってきていました。
嬉々とした僕の目に入ったのは「怒れないくせに!」という身近なセンテンスでした。
さすがは中高大と柔道部主将をこなしてきた体育会系の生き物です、煽りの実力も黒帯級だと感心した僕は涙を堪えて再び歩き出しました。


そこに現れたるはもう一人の歩きタバコ男。
ふふふふふ今俺の前で歩きタバコをするって言うことがどういう事かわかっているのか?小僧。
すれ違いざまに僕はその男の左手にある火の着いたタバコに向かってタックルをかましました。
タバコの火が僕の眼球に突き刺さり、ジューという音と共にオレンジの光が消え、僕の片目も光を失いました。
おおなんという理不尽。僕は悔しさのあまりその場を走り去りました。
すると突然の尿意。
誰も見てないし良いよねっ。
ズボンのチャックを下ろして僕ことハンニバルは小マンモスを取り出し、放水しました。
綺麗なアーチを描いて飛び出した尿は偶然そこを通っていたむき出しの高圧電流の流れる電線に注ぎ込み
僕の体は黒焦げになってバーミヤンの裏のごみ箱にすてられました。
お腹をすかせた一匹の野良猫が僕の死体に近づいて鼻を向けましたが、
その臭いを嗅いで猛スピードで去っていきました。
そしてその猫はコンビニの入口前に座ってファミチキを食べつつ談笑している金髪の不良風カップルの許へと擦り寄って行きました。
その猫はトラジと名づけられ、二人の同棲するアパートで内緒で飼われる事になりました。


歩きタバコの男性が歩いていた道は、別に歩きタバコ禁止区域ではありませんでした。

モテない×勝てない×イケメンには。

大門雄輔は追い詰められていた。
「てか仕事中にアドレス聞くのとかないだろ、ありえんわ」
図書館のお姉さんに一目惚れした彼は、図書館に通い始めること2ヶ月。
自制心を失ってしまい、彼女のメールアドレスを手にいれるために暴走し、失敗したのだった。
なんとか精神的に持ち直した彼は再び一利用者として図書館に通うようになったのだが、彼女への思いは未だに諦めきれていなかった。
というかはっきりいってまだ大逆転があるんじゃないかと思っている節がある。というか思っていないと生きていけない。


彼は仕事中にとあるマンガを読み、欝に入った。
イケメンイケメンと騒ぎ立てるクソ女共に対する耐性はある程度出来ていたものの、
イケメンであり、才気にあふれながらも、恋に、仕事に、自分に悩む同年代の男子の姿は彼の心を揺さぶった。
イケメンが憎い。いや、羨ましい。


「顔が悪けりゃ口で勝負すればいいんだけど、お前はそれもダメだもんな。」


こんなに不幸なんだから、少しくらいお金になってもいいんじゃないか。


「ブサイクも限度を過ぎてブサイクならブサイクモデルになったり、逆にモテたりするんだろうけど、お前は本当に中途半端に不細工だからな。」


どないすればええんじゃ。


過去の痛々しい思い出がフラッシュバックする。あぁ、あぁ、あぁ、ああぁぁぁぁあ。
恥ずかしい消えたい死にたいどこかに行きたいでも死にたくない忘れたいていうかわすれてというかもうおれなんて居なかったことにしてくださいとまんまんまん、穴が開いてるよ上から数えて1,2,3入れるときには2番目でぇ、ひねる出すときゃ三番目、じょろりと出すのは1番目じょばじょばじょばじょば女の穴〜穴〜というか尿道と膣ってどっちが上だっけ?おしえてください、代わりに乳毛を上げるから〜♪
そうだ、死のう。死のう。でも怖い。そうだ手首を掻き切ろう。


リストカットと言う言葉を聞くとどうも頬が赤くなって、恥ずかしくてたまらない感じがする。
流行でカジュアルな感じと、うわぁイタイ感がどうしてもぬぐい去れない。


そもそも、自分とイケメンの差を埋めるためにはリストカットぐらいじゃ生ぬるい。
リストカットで得られる御手軽な悲壮感じゃ逆効果にしかならない。
プフッ
とどこからか嘲笑失笑が聞こえてきたような気がする。
どないすればええねん。


大門雄輔はホームセンターに行って鉈を購入した。
あとは家にある物で事足りる。
まず、マ○○リーを飲む。
この入眠導入剤は、服用後もすぐ床につかず、覚醒状態を維持しているとテンションがハイになるという副作用がある。
うまく説明できないが、ハイになった時の自分と、普通の自分とは別の人間のような感覚になるので、とても便利です。
ベルトで右太ももの付け根あたりを縛り、鉈を当てる。
そしてその上に電子レンジを何度も何度も叩きつけた。
その最中思い出したのは、とある女の子のことだ。
彼女の名前は忘れてしまったが、そのあだ名は未だに覚えている。
高校1年の時。世界史の授業で先生が黒板消しをハンドアックスに見立てて、一番前の席に座っていた彼女に向かって振りかざした。
それ以降彼女のあだ名はハンドアックスだ。そのふくよかな体を支えるために鍛え上げられたそのふくらはぎは、旧石器時代人を思い起こさせた。
鮮血を吹き出しながら胴体から離れた右肢のふくらはぎは、ハンドアックスさんのそれよりも細く、ちっぽけだった。


ベルトはきつく締めたはずだったが、太ももからは大量の血液が吹き出ていた。
バスタオルで止血を試みたが、一向にその勢いは止まらず、真っ赤に染まったバスタオルが何枚も何枚も重なっていった。
飛びそうになる意識の中で携帯電話を手にとり、199番を押した。
「救急ですか?消防ですか?」
「救急です」
「どうされました?」
「悪手とは言えないまでも正着ではない防御が招いた結果血が止まりません、助けてください。」
万が一くっ付いてしまうと困るので、救急車が車での間、切り離した右肢はガスコンロでコンガリ焼いてしまった。


数週間後、晴れて退院した僕は望みどおり右肢のない体になっていた。
義足という選択肢もあったのだが、服の上からではわかりにくいので車椅子を選択した。
もうすぐ、待ちに待った彼女との再会だ。


バリアフリーが行き届いた最新の図書館は車椅子初心者でも容易く動き回れた。
3階の一般図書コーナーを一回り。居ない。
とするとやはり4階の視聴覚コーナーにいる可能性が高い。
館内専用のエレベーターにのりこみ4階へ。
テーブルが並べられた中央の読書席を横目に、視聴覚コーナーへと進む。
居た。彼女だ。静かに近づいて
「あ、あの、お久しぶりです。」
こちらに背を向けて、最近返却されたDVD棚に向かって陳列をしているショートボブの女性に声をかけた。
「えっあっお久しぶりです、一体どうしたんですか?」
戸惑う彼女を見ながら彼は、
車椅子だと彼女の方が背が高いから見上げる感じになるんだな、なんてことを思った。

「ちょっと事故にあっちゃいまして。右肢なくなっちゃいました。」

「それは・・・とても大変でしたね・・・でも、命だけは助かってて本当によかったです。」
彼女はとても可哀想なものを見たような、泣きそうな顔をしていた。
そしてその顔は心からの同情と哀れみをたたえていた。

「で、ですね・・・僕、こんな体になっちゃったんですけど、やっぱりあなたのことが好きです。メアド交換してください。」

彼女は、一瞬ハトが豆鉄砲を食らったような顔をして、そして少しの間、といっても彼にとってはとても長い時間に感じられたのだが、悩んでこう言った。
「ご、ごめんなさい・・・規則でそれはできないんです。本当にごめんなさい。」


  • 結末A(今週の週間少年ジャンプを読んで居ない人はこの後の結末Bまで飛ばしてください。)

気がつくと大門は見たこともない場所へ来ていた。
日はとっくに暮れ、人通りの無い道路は街灯も少なく、辺りはほとんど闇に包まれていた。
何時間も車椅子を押し続けた腕の筋肉はパンパンに腫れ上がり、真っ赤になった顔からは湯気が立ち上っていた。


我に帰った彼は携帯電話を取り出し、現在位置を確認しようとGPS機能を作動させようと画面を開いた。
その刹那、彼の左腕に鈍い痛みが走った。
白い光が宙を舞い、ドサっという水の入った革袋が落ちたような音に続いて、カラカラっと軽い金属が地面にぶつかる音が聞こえた。
右腕で左肩に触れると、左腕の存在が感じられなかった。
音が聞こえた方に振り返ると、こちらを睨む二つの目が光っていた。
携帯電話のバックライトが照らし出したその正体は、巨大な猫。正確には雌のライオンだった。


そういえば数日前、動物園から雌のライオンが逃げ出したというニュースがやっていた。
腹をすかせたライオンは人を襲うかもしれないので気をつけてください。
そう報道したニュースキャスターの作りもののようなやけに深刻そうな顔が脳裏に蘇った。
そのライオンが捕獲、または射殺されたという続報は聞いた覚えがない。


「クソッ・・・」
ライオンの瞳は未だコチラを睨んでいる。
片腕だけじゃ物足りない、お前を喰らい尽くしてやろう。
そんな言葉が聞こえてきそうだ。


「調子に載ってるんじゃねぇぞ!」
(左腕がなければ祈れないとでも?祈りとは心の所作。心が正しく形を成せば想いとなり 想いこそが実を結ぶのだ)
「誰か助けて!神様助けて!」
大門の放った凄まじい気迫に、ライオンは一瞬戸惑い、後ずさった。


その一瞬の隙をついて地面に落ちている携帯電話に飛びついた。
「俺は一人じゃない」
画面を開いてボタンを三回プッシュする。1・1・0。


「人間をなめるんじゃねぇぞ、ムファサ・・・」


携帯電話の画面の左上には、赤く圏外のマークが輝いていた。


  • 結末B

「ご、ごめんなさい・・・規則でそれはできないんです。本当にごめんなさい。」

教訓。ブサイクは片足を失ったところでイケメンに匹敵することはできませんでした。ちゃんちゃん。

新作古典落語『オリエント工業』

「清川くん、最近大門くん全然シフト入れてないんだけどどうしたか知ってる?」
「なんかずっと体調不良だって聞きましたね」
「体調不良?風邪か?」
「いや、なんかよくわからないんですけど、ここ三日ほど全然様子見ないですね」
「そりゃあ心配だなぁ・・・ちょっと様子見に電話してみるよ」


プルルルル プルルルル


「おかしいなぁ、でないなぁ・・・」



プルルル、ガチャ

「ただいま、留守にしております。御用の方は発信音の後にご用件をどうぞ」


ピー


「あっもしもし?大門くん?病気だって聞いたけど電話出られないくらい酷いの?大丈夫?」


ガチャ


「お?出た?もしもし、大門くん?」
「はぁ・・・」
「ん?風邪か?いい若いもんが風邪くらいで三日も休んじゃだめだよ。ハァハァハァ言ってないで病院行ってすぐ治して。それとも病院行けないくらい酷いのかい?そっち行こうか?」
「店長・・・すみません・・・僕の病気は医者や薬じゃ治らないんですよ・・・」
「医者や薬じゃなおらない?ってことは自分の病気がなんだかわかってるんだ?よかったら教えてくれない?なんて病名だい?」
「僕の病気はね・・・お医者さまでも草津の湯でもってんですよ!」
「ずいぶん長い病名だねぇ。ってどこかで聞いたことあるなぁ」
「お医者様でも草津の湯でもって・・・もしかして恋?」
彼女いない歴=年齢で一生童貞を心に誓っていた大門くんが恋煩いって・・・驚いたなぁ・・・で、一体どこの誰が相手だい?」
「店長にそう聞かれると・・・なんか僕申し訳なくて・・・その・・・」
「私に申し訳ない?・・・もしかしてバイトの子?誰?佐伯さんならだめだよ、彼氏いるから。え?違う?」
「違いますよ・・・実は僕、最近本読んでるんですよ。」
「あぁ、そういえば最近夢野久作がどうだとかバイト中に話してたねぇ・・・つくづく中二なやつだなぁって思ってたよ」
「陰でそんな事思ってたんですか!」
「まぁまぁまぁ、いいじゃない。で?それでどうしたの?」
「・・・まぁいいですよ、でね、中央図書館あるじゃないですか、最近改装して綺麗になった。」
「おぉ、市民会館とかカフェとかもあるでっかい綺麗な良い図書館だね。」
「で、この前、本を借りようと思ってカウンターに持っていったら、そこに可愛い職員さんが居たんですよ。そのお姉さんに惚れちゃったんです。」
図書館のお姉さん?あぁ、水曜日は夜番で金曜日は朝番でよく視聴覚コーナーにいるあの子かな?ショートのボブカットで外側に軽くウェーブした髪型の。」
「よく知ってますね、僕ですらシフトまでは詳しく知らないっていうのに。」
「そりゃもう、あの図書館で一番可愛いからな。声も態度もめちゃくちゃ優しくて癒されるって評判だよ。」
「そうですか・・・そりゃそうですよね・・・あんだけ可愛けりゃ有名にもなっちゃってますよね・・・」
「しかしまぁ、あんな美女に惚れちまったのか」
「駄目だとは思ったんですよ、僕みたいな三角コーナーの生ごみのような僕が高嶺の花だ、って・・・でも諦めきれないんですよ」
「何をしてても彼女の顔が頭に浮かんで、仕事にも遊びも手に付かないんですよ」
「何うじうじ言ってるんだよ、惚れたんだろ?じゃあ行けよ!すきだって行ってこいよ!」
「でも、僕みたいな童貞がつきまとったらストーカー罪で逮捕されてしまうんじゃ・・・」
「確かに、君は大学中退のフリーター、オタクで口下手、器量も悪いし腹も出てる。貯金もないし、良い所なんてひとっつもない。」
「耳が痛いです・・・」

「そこでだ、諦めずに働くんだ。お金貯めて良い服買って、おしゃれして、それからお姉さんにアタックするんだ。」

「それでなんとかなりますかね?」

「そりゃわからん。だけど私もうまく行くようにできるだけ便宜を図ってやろうとは思ってるよ」

「いくら貯めれば良いですかね?」

「そうだなぁ・・・50万、いや、100万。できるだけ多く貯める。1年間みっちり働いて、その貯金を元手に指輪なりなんなり買えば良いさ」

「100万貯めればお姉さんを彼女に出来るんですね!?」

「断言はできないが、まぁ、今よりは確率は上がるだろうな」

「じゃぁ僕働きます。今すぐバイトでます。」


とまぁそうと決まれば早いもので、それから大門は休みを返上して毎日働きました。
彼女のためだと思えば仕事の上達も早く、みるみるうちに成長し、バイトリーダーになって時給も上がって
店長はまた一人使えるバイトが出来たと喜んで、先程の約束などすっかり忘れさっていました。
そしてあっという間に時は流れ、1年の月日が経ちました。


「おはようございます、店長。今月の給料もらいに来ました。」

「おお、今日は給料日だったね。はい、今月の給料。今月も頑張ったね。」

「ありがとうございます。ひぃふぅみぃよぉ・・・っとはいっ、確かに受け取りました。これでようやく貯金が100万円になりました。」

「人は変わるもんだね、数年前までは親のスネをかじって生活するダメニート大学生だった君が、100万も貯金をしたのか・・・おめでとう」

「ありがとうございます!」

「おめでとうついでにも一つお目出度いお知らせだ。大門くん、正社員にならないかい?」

「へ?正社員ですか?」

「君の働きっぷりを社長も評価してくれてるんだ。君には期待しているよ。それでだね、君は今年ずっと働き詰めだったから長期休暇をあげるよ。
お母さんと旅行にでも行って、たっぷり親孝行してきなさい。そして旅行から帰ったら正社員としてウチで働いて欲しい。」

「ありがとうございます。是非ともよろしくお願いします。」

「うんうん、よかったよかった。」

「で、ですね、一年前の約束を果たして欲しいんですが・・・」

「約束?なんだっけ?」

「忘れたんですか!100万円貯めたら図書館のお姉さんとお近づきになれるって!店長そういったじゃないですか!」

「ああ・・・そういえばそんな約束した記憶があるな・・・すまん、完全に忘れてた。」

「酷いですよ!このためだけに仕事頑張って貯金したんですよ!あんなババアと旅行なんてするために100万貯めたんじゃないんです!」

「わかったわかった。わかったから落ち着いて。しかし私にコネなんてないからなぁ・・・」

「嘘ついたんですね!ふざけないでくださいよ!もう俺告白してきます!」

「あぁ・・・そうだ、私の知り合いに藪井竹庵という人がいて・・・ってもう行ってしまった・・・」



「お姉さん、好きです。」「ごめんなさい。」「すみませんでした、このことは忘れてください!」


逃げ帰った大門はバイトにもいかず、家にひきこもるようになりました。
そしてインターネットでとある出会いを果たします。
オリエント工業ラブドール、凛との出会いでした。
図書館のお姉さんと付き合うために貯めた貯金をすべてはたいて
オリエント工業の高級ラブドールを購入した大門は二人で幸せに暮らしたと言う、古典落語からの一席でございます。

しつこいブサイクかけてあげる言葉とは。―僕はかおがわるい、だけじゃなくていろんなところがわるい。―

人の本音を探りだすにはどうすれば良いか。
適度なストレスを与え続けたまま数時間会話し続ける、これが一番の方法ではないでしょうか。


昨日、QJのライターで、友人のあまね丸君と一緒に神保町にとある本を探しに行きました。
15年前くらいに発行されたマイナーな海外作家の単行本で、Amazonで調べても中古商品が5000円ほどの値がついているものです。
最近図書館に通いだし、読書家というイメージの持つ素敵さに憧れた僕は、どうしてもその本を本棚に加えたかったのです。

>理想
「へぇ〜、こんな本読むんだぁ〜意外〜」
「あんま詳しくはないんだけど、この人の本だけはめちゃくちゃ好きなんだよね」なんつって。
セロニアス・モンクがBGMに流れるデザイナーズマンションの一室はバニラの匂いで満たされていた。


実際のところぼくんちに本棚なんてものはなく、
積み上げられたマンガの山、「昨晩はお楽しみでしたね」なんて台詞が頭をよぎらずには居られない、床に散乱した快楽天ペンギンクラブ
BGMに流れるのは桂米朝『艶笑上方落語 いろはにほへと』。部屋には生ごみの臭いが充満している。
どれもこれもF市のごみボックス廃止、市指定ごみ袋(40Lサイズが一枚80円)の導入など、すべて悪いのは行政の仕業だと言いたくなる。
F市が誇れる物なんて中央図書館が立派で可愛いお姉さんが居ること位だよ、全く。
そもそも人があまり来ない。


とまぁ相変わらず脱線が長くなるのでサクサク話を進めるとしましょう。
結果から行きますと、神保町に探してた本はありませんでした。いや、正確には見つけられなかったと言うべきか。
なにしろ初めてなもので右も左もわからない分からないままiPhone片手にマップを見ながら移動したのですが、
お供のあまね丸君も、僕も地図が読めない男子、ファミコンゆとり世代、自分が向いている方向=地図の上という思い込みが拭いきれず、ぐるぐると同じ場所を回るハメになったんですよ。
一休みと入ったロッテリアで何気なく本のタイトルでGoogle検索をかけた所、BK1で注文出来ることが判明して所望の本については解決したのでございます。
が、数時間探しまわった挙句1冊も本を買わないっていう自体に納得できなかった僕はあまね丸君に提案しました。
都内のBOOKOFFを歩いて行けるだけ行ってみよう。地図を片手に秋葉原飯田橋→早稲田→高田馬場と4店舗を徒歩でめぐりました。
20km弱の散歩だったのですが、途中途中で荷物は増えて、道もわからないので行ったり来たり、少しずつ、着実にストレスは溜まっていきました。


今回の買い物にはあまね丸くん以外にも数人誘ったのですが、参加をOKしてくれたのはあまね丸くん一人だけでした。
来なかった数人のその中の一人に清川くんと言う男が居るのですが、彼は非常に器量が良く、
OFF会などで彼を見た人はなぜ彼が童貞なのか理解出来ないとまず口にします。まぁその誤解は数秒後に払拭されて行くわけですが、
いくら彼の脳みそが腐っていて、変態的であるかといっても、その容姿は変わりません。
僕はいつも、彼らと遊び、語り合うときには(大半の時間がエロ漫画や、いかにしてモテるか、働きたくないでござる、等の話題で占められる)容姿コンプレックスを感じてしまいます。
そしてその度、「僕は顔が悪い。」だの、「ブサイクに生まれた時点で人生終わってる」等の発言をこぼすのです。
(ちなみに、あまね丸くんも強面ではありますが、竹やぶで童貞を捨てたことのある立派な男前です。)


「そんなことないだろ」なんてお決まりの返事が返ってきて話題が終わる。いつもならそうでした。
しかし今回は違います。夜の街を二人歩いているという特殊なシチュエーションに酔った僕に、知らず知らず溜まったストレスがピリリと効いて
普段は抑えきれている僕のブサイクコンプレックス(ブスチャクラ)が漏れ出してしまったのです。


普段僕は、自分のことを不細工だと良い、自分の顔のことを腐った苺(品種はあまおう)にカピカピの焼きそばが乗っかったような顔と形容しています。
生まれた時から顔にはブツブツの毛穴(そばかすではない)、タイムカプセルのように思春期を経てその姿を現した天然パーマ、この二つを見事に表現していると自分でも気に入っている自虐フレーズなんですが
実際のところ、僕は自分のことを口程には不細工だとは思っていない節があるのです。すこし日和ました、節があるどころか思ってません。
顔面偏差値という言葉があります。これは受験偏差値などと同じように、各人の顔の美醜を50を基準として数字に表した指標なのですが、
僕はその数値で行くと50は越えている、そう思い込んでいたのです。高校時代、眉毛を初めて整えたときなんぞは55はあるんじゃないかと一人鏡を見てニンマリした夜もありました。


「俺、実は顔面偏差値50を越えてると思ってたんだよね。」
漏れ出したブスチャクラが手裏剣となって飛び出しました。
「え?そうなの?」
あまね丸の、そりゃないだろ、的な顔と返事がその手裏剣を地面に叩きつけました。
「最近、50割ってるってことにはようやく自覚できてきたんだけどさ・・・」
とっさのフォローが僕の口から自然と溢れます。
「まぁ、でも、50前後ぐらいはあるよ。」
「”前”後かよ。」
軽い笑いが起こり会話は別の方向に流れていきました。
しかし僕の心にはほんの少し澱みが残りました。
平隊員だと思っていた僕が、客観的視点からブサイク新選組7番隊組長補佐クラスの実力があると証明されたのです。


僕のように、ブサイクコンプレックスを抑え切れず、弱音を漏らしてしまうブサイク新選組隊士は少なくないと思います。
皆さんの周りにも居るんじゃないでしょうか。
彼らは「どうせ俺って不細工だから」そんな言葉を漏らしませんか?
「そんなことないよ」とお茶を濁すのも優しさです。しかしそう何度も同じことを繰り返すのも楽ではないでしょう。


はっきりと厳しく「うん、そうだね、不細工だね」って言ってあげるのも優しさです。
だけど大部分のブサイク新選組隊士は心に傷を負うでしょう。
優しさだと知っていても傷付くでしょう。


だったらどうしたらいいのでしょうか?弱音ブサイク共は本当に面倒くさい生き物です。
それでも、少しでも嫌いじゃないのだったら、愛と呼べる感情があったなら
「こうしたらいいんじゃ無いかな?」、「もっと良くなるんじゃないかな?、「少しはマシになるんじゃねーの?」
こんなアドバイスをしてみてください。互いに少しは気が楽になるんじゃないでしょうか。


>結尾
「もうあかんわ、俺不細工すぎて生きる価値n・・・」
突然唇を奪われて二の句が継げなくなる僕。
「そんなことないよ、君は不細工かもしんないけど、愛してあげる」
そう言って抱きしめられた瞬間、僕はブサイク新選組を脱走。
隊規を違反したとして切腹を命じられた。
しかしその腐った苺顔にはこれ以上ない微笑があった。


今日の一句『この際、男でも良いからSay Love me.』豊金玉

愛の、才能、ないの。今も勉強ちゅ・・・勉強すればなんとかなるのかな?

全編泣き言でお送りします。
見直してないからサイコパスな文章になってないかしら。
まぁいいや、思ってることほとんど吐き出したので少しすっきりした。


今の非モテは、フィクションを盛り上げる「告白至上主義」が生んだ被害者

恋愛は、告白したら9割がた失敗する。
例えば、お前が告白するとき、絶対にOKしてもらえるはず!
って思ってたか?
ダメもとで告ってみて、断られたらすっぱり諦めよう! なんて思って無かったか?
それ、完全に負けるパターンだろ。

勝ちたくないと言えば嘘になる。というか嘘。
俺だって勝ちたい!図書館のお姉さん大好きだ!
毎日でも会いたいしずっと話してたいし、
あの笑顔と桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油があればご飯一升でも食べられるよほんとに。
けどどうせ無理なんだよ!今までの蓄積がそれ物語ってるもの。全戦全敗よ。
数うちゃあたるとか言うけどさ、そんなにポンポン人好きになんてならないし、
一度好きになったら最後までその人と添い遂げたいとか思ってるよこの童貞は。


でもね、怖い。未知の領域過ぎてもうひたすら怖い。
妙につやつやしたイルカの絵とか壺買わされるんじゃないか、とかそういう恐怖じゃないよ。
付き合うってどんなことするの?とかそういう疑問からくるのもあるんだけど、それだけじゃなくてなんかもう漠然と怖い。
人に愛されるってことがわからなくて怖い。なにこの変なラブソングみたいな文句。
でもやっぱり好きだわ。会えばすっげードキドキするし。
萌えとかそういうレベルじゃなくて、丹田からエクトプラズム(SOUL・・・今日のタイトルはカワマコです。)みたいななんかが上に上がってくるし。


本当に恋愛を成功させたいなら、リスクを最小限にする努力。
勇気が必要なのは、最初にデートに誘う時と、最初にキスする時だけ。
他は、いい雰囲気に持っていく努力だけしてればいいよ。

そのリスクを最小限にする努力ってのができないの、俺。
外堀を埋める体力と気力がない。それ故に非モテで小者なんだけど。あ、あと常識もないわ。
好きだ好きだって言ってると相手も惚れるとか割と本気で思っちゃってる節がある。8:2くらいで。
鼻血だして、這いつくばってでも喰らいついて好きだ好きだって言ってたら案外いけるんじゃないか?なんて思ってた。
んで、さっきもっかい元増田読んだらキモイって書いてあったわ。



苦しくてしょうがないの。俺うつ病でパニック症状でたことあるけど
もうほぼ同じ。うつも恋もかわんねぇ。たぶん恋って精神病の一種だわ。
しかもお医者様でも草津の湯でもっつって薬効かねぇから余計タチ悪いわ。
俺みたいなブサイクがあんなにきれいな人好きになってる。愚か。
なんとかお近づきになろうとして小賢しいことやってる姿。滑稽。
ゲッペルドンガー笑ってる。あぁ恥ずかしい恥ずかしい。
あと、過去の恋愛におけるピエロっぷりを思い出しては死にたくなるね。
これ凄い頻繁にある。ふとした瞬間に来る。自生思考ってやつ?
「アーアー聞こえなーい」どころじゃ収まらないので
『I am a hero』の英雄のように「○んこ音頭」を口ずさんだりしてなんとか乗り切ってる。
英雄の場合は恐怖から逃れるためだけど、俺の場合は恥ずかしさから逃れるための歌。即興猥歌。


あと、デートって全くもって未知の行為なんだけど、必要ないんだよね。
すべて妄想で全部すんじゃってるから。
出会い、仲良くなる過程から結婚にいたるまで、子どもが生まれて、お墓に入るまで、それも各シチュエーション数パターンずつあるからね。
仲良くなるきっかけの例としては
地震で倒れてくる本の雨から彼女を身を呈して守ったり、
モンスター的な客から守ったりとか、偶然同じ本に手を伸ばして手と手が触れ合ってフォーリンラブとかそういうベタなのが。
途中でいろんな事件があって一旦別れてまた寄りを戻したり、なんてのもあります。
こういう妄想って勝手に湧いてくるから止まらないし、最近までこれが異常なんだってこと気づいてなかったんだけどね。


ここまでくると俺が好きになったのって実在の彼女じゃなくて俺の頭の中で作り上げられた彼女像なんじゃないかって思ったりもする。
だから実際に付き合えるようになったとして理想と現実のギャップに悩むのが怖いってのが漠然とした恐怖の答えなのかもしれない。


心が喋るまま文章にしてきたから所々というか殆どが破綻しているけど別に伝えたい結論とかないです。
書いてる最中に思ったのはどうすれば付き合えるか手取り足取りレッスンしてくれねぇかなってこと。
うまいこと外堀を埋めるにはどうすれば良いのか。
メールしてもたいがい無視されて、デートに誘っても断られて、そんなんばっかりだった。
相手の女子は裏で俺のこと笑ってるんだろうなぁって思って死にたくなる毎日だった。
そんな子だったら好きになるだけムダだ、とかあの子がそんなことする訳ないじゃん!(実際してないだろう)っとは思うんだけど、
そうはおもうんだけどやっぱり被害妄想って拭えない。俺打たれ弱い。


ユーキャンでも赤ペン先生でも公文式でもガチンコファイトクラブでも何でもいいから手取り足取り教えてくれませんかね?
ゆとり世代詰め込み教育の影響で自分で考えることができません。はい、責任転嫁。


あー図書館のお姉さん好きだ一秒でも長く話してぇでもアドレス聞いたら断られたんだよね。
これからどうすればいいんでしょうかね、外堀埋め直せますかね?
ただしイケメンに限るは禁止ワードに登録しました。もう少し考えるようになりたいので。

あの子僕がロングシュート決めても気持ち悪いっていうんだろうなぁ

非モテが必死にメールしてきて笑える

どないせいっちゅうねん
嫌ならはっきり言ったらええんとちゃうの
「やんわりと拒否反応示してもわかってくれない」って何?


それが分からないから童貞なんじゃないか、
それが分からないから何度もメールするんじゃないか、
もしかしたら俺のことを好きになってくれるんじゃないかって思って
メール送って、なんでこんなメール送っちゃったんだろうって、唸って悶えて転げまわるんだよ


それは優しさのつもりなの?弄んでるだけなんじゃないの?


>こういうやつらはほんと強引。こっちのこと考えちゃいない。
考えてんだよ、これでも。考えた結果がこうなんだよ。
思わせぶりな態度とってるのはそっちじゃないかよ。
はっきり嫌と言えよ、着信拒否しろよ。
下手に返事返してくるから勘違いしちゃうんじゃないか。


>てめーらは誰でもいいかもしれんけど、こっちは違うのだ。
誰でもいいって誰が言った?
そりゃ俺だって乳首舐めたり舐められたりしたいですよ。
でもそれは誰でもいいわけじゃない。
お前じゃなきゃだめなんだよ、だから諦めきれずにメールしちゃうんじゃないかよ
ゾンビにしてるのは誰?他ならぬお前なんだよ。


なんだよ、なんだよ
どうすりゃいいんだよ
わかんないよもう
好きになってすみませんでした。ごめんなさい。
でもどうにも止まらないんです。