物語
桜の季節。 ついにこの日が来たんだ。長きにわたる受験生活を乗り越え、僕はようやくここに立っている。 名門リストカット大学正門、通称赤門前。 辺りには健一と同じ新入生と思われる初々しい、どこか似合わないスーツ姿の男女が数多く見られた。 「これか…
深夜0時30分頃、アルバイトの帰りに大門くんは歩いていました。 常服している精神安定剤を飲み忘れた上に、 自分のモテ要素のなさ、気持ち悪さ、常識のなさに彼の心はボロボロでした。 いっそ死んでしまいたいとは思いつつも来月のハガレンが気になって死ぬ…
大門雄輔は追い詰められていた。 「てか仕事中にアドレス聞くのとかないだろ、ありえんわ」 図書館のお姉さんに一目惚れした彼は、図書館に通い始めること2ヶ月。 自制心を失ってしまい、彼女のメールアドレスを手にいれるために暴走し、失敗したのだった。 …
「清川くん、最近大門くん全然シフト入れてないんだけどどうしたか知ってる?」 「なんかずっと体調不良だって聞きましたね」 「体調不良?風邪か?」 「いや、なんかよくわからないんですけど、ここ三日ほど全然様子見ないですね」 「そりゃあ心配だなぁ・…