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dotei.tgz

童貞・非モテ大学生時代のリビドー日記書庫

VS歩きタバコ編

深夜0時30分頃、アルバイトの帰りに大門くんは歩いていました。
常服している精神安定剤を飲み忘れた上に、
自分のモテ要素のなさ、気持ち悪さ、常識のなさに彼の心はボロボロでした。
いっそ死んでしまいたいとは思いつつも来月のハガレンが気になって死ぬことはできません。
右手に持った快楽天と、今週のラストイニングだけが彼を支えていました。
これがなければ彼は今すぐパンツから小象をこんにちわさせてF市内をかけめぐっていたことでしょう。


今日は何故かiPhoneの調子が悪く、Podcastで馬鹿力が聞くことが出来ません。
いつも世界から彼を守ってくれるはずの豚面DJのトークも、軽快な音楽もありません。
ふと公園を見てみると自転車を置いて側の芝生に寝転んでいる男性が居ました。
帰るところがないのか、一晩留めてくれる佐藤さんが見つからなかったのか、はたまた死んでいたのかはわかりませんでしたが
近づいておしっこをぶっ掛けることはせず、遠まきに通り過ぎました。
背後から話し声が聞こえました。それは凄い勢いで近づいてきます。
暗闇から僕の側を横切ったのは、妙にハンドルの位置が高い所にある自転車に跨り、携帯電話片手に通話していた男性でした。
「死ね」
自転車の彼の姿が豆粒くらいの大きさになってから大門くんはボソリとつぶやきました。


(キミが好きだと)叫びだしたい衝動と、四足歩行で50mほど走りながらF市の森公園の合鴨が泳いでる池に飛び込んで
砂漠でオアシスを見つけた旅人ゴッコをしたい衝動を、今週のHUNTERXHUNTERに対する期待で掻き消し、
フラフラと千鳥足で、時折舌をだらしなく垂らしながらK街道沿いの歩道を歩いていました。


横断歩道で信号待ちをしていると、向こう側にオレンジ色の光が見えました。
口に加えて煙を吐き出すだけで30人の女を抱くことが出来るでおなじみのタバコです。
そうです、その男は歩きタバコをしていたのです。
僕の怒りは頂点に達しました。
僕はこんなに中途半端にブサイクでお金がもらえないくらいに不幸なのに。
家に帰って快楽天でオナニーする、それまでの間だけでも何事も無く平穏に時は過ぎてはくれないのか。
僕の心の中のモンキーな部分が爆発しました。
すれ違いざまにウヒョーと奇声を上げた僕はそのまま街路樹にかじりつきました。
ガジガジといったのですがあまり美味しくはアリマセンデシタ。
それだけでは僕の衝動は収まりませんでした。
かまって欲しいブサイクの僕はtwitterでこんな発言をつぶやいたのです。
「あるきたばこやめろおれがいえかついておなにーするまでおこらせないでおねがい」
全文平仮名、誤字脱字の訂正無しという、一見してあっこの人怒ってる。
もしくは、黒の組織に謎の薬を飲まされて知能が幼稚園児レベルにまで退化してしまったんだな、とわかるつぶやきです。
僕は250にんものフォロワーを持つ有名人でございますから、一つや二つくらいは慰めの返信があるんじゃないか、
それが僕がオナニーするまでの時間の平穏を取り戻してくれるのではないか、このつぶやきにはそんな淡い期待が込められていたのです。


気を取り直した僕はコンビニに立ち寄りました。時刻はもう深夜1時に近づき、月曜日発売の週刊漫画雑誌は棚に陳列されていました。
一息着いた僕は隣で臭い息を吐き出しながらジャンプを読む青年を横目に軽くバカにしつつ、スピリッツを手に取りました。
ラストイニング、ザワさん、土竜の唄、等などを軽く流し読みしてから、ジャンプに手をつけました。
隣の青年はいまだ臭い息を吐きながらジャンプを熱心に読んでいます。どうやら新連載が始まっていたようでした。
僕は目次でHUNTERXHUNTERのページを確認して、一発で開き、HUNTERXHUNTERを読み終えました。
総立ち読み時間は5分を超過してしまいました。古本屋店員である一面を持つ僕は、立ち読みと言う行為のもたらす
様々なマイナス効果を十分に理解しているつもりです。すんません、立ち読みさせてもらいました。代わりになんか買ってきます。
これが僕のコンビニ店員に対する礼儀でありポリシーでもあるのですが
商品の入荷に来ていたお兄さんと親しげに、お仕事上の立場以上に親しげに、ていうかもう付き合ってるだろってくらいに親しげに話す
女店員を見て僕は何も買わずにコンビニを出ました。自動ドアを出て振り返ると、息の臭い彼が買い物カゴを片手に何かを商品を手にとっている姿が目に入りました。


再び携帯電話を取り出してついったーを見てみると、先程のつぶやきに返事が返ってきていました。
嬉々とした僕の目に入ったのは「怒れないくせに!」という身近なセンテンスでした。
さすがは中高大と柔道部主将をこなしてきた体育会系の生き物です、煽りの実力も黒帯級だと感心した僕は涙を堪えて再び歩き出しました。


そこに現れたるはもう一人の歩きタバコ男。
ふふふふふ今俺の前で歩きタバコをするって言うことがどういう事かわかっているのか?小僧。
すれ違いざまに僕はその男の左手にある火の着いたタバコに向かってタックルをかましました。
タバコの火が僕の眼球に突き刺さり、ジューという音と共にオレンジの光が消え、僕の片目も光を失いました。
おおなんという理不尽。僕は悔しさのあまりその場を走り去りました。
すると突然の尿意。
誰も見てないし良いよねっ。
ズボンのチャックを下ろして僕ことハンニバルは小マンモスを取り出し、放水しました。
綺麗なアーチを描いて飛び出した尿は偶然そこを通っていたむき出しの高圧電流の流れる電線に注ぎ込み
僕の体は黒焦げになってバーミヤンの裏のごみ箱にすてられました。
お腹をすかせた一匹の野良猫が僕の死体に近づいて鼻を向けましたが、
その臭いを嗅いで猛スピードで去っていきました。
そしてその猫はコンビニの入口前に座ってファミチキを食べつつ談笑している金髪の不良風カップルの許へと擦り寄って行きました。
その猫はトラジと名づけられ、二人の同棲するアパートで内緒で飼われる事になりました。


歩きタバコの男性が歩いていた道は、別に歩きタバコ禁止区域ではありませんでした。