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童貞・非モテ大学生時代のリビドー日記書庫

アニメってすごい!っていうエネルギー。今井哲也『ハックス』

月刊アフタヌーンで大好評連載中の漫画『ハックス!』の単行本1巻が出ました。
アフタヌーンの2008年新連載の中で1,2を争うぐらい好きなこの作品。
雑誌掲載時も何話か感想を書いたのですがやっぱり単行本で読むとよりいっそう面白いですね。

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

あらすじ。

亜佐実みよし、高校1年生。ちょっと天然風味の変わった女の子。
彼女は新入生歓迎会のオープニングで上映されたアニメ映像に心を奪われた。
感動に胸がうずうずしてたまらないみよしはアニメ部ことアニメーション研究会の門を叩くことに。
しかしアニメ部は部長一人のみ、しかもその部長は電脳研に入り浸りゲーム三昧。
そんな部長や、みよしと同じくあの映像に心を打たれた美少年や、気がつけばそこに居るオタクな人や生徒会長などなど
色んな人を巻き込んでみよしはアニメーション制作にどっぷりはまっていきます。
―けっこーまじめな高校アニ研DIYグラフィティ


 面白いアニメを見た時って体がうずうずしませんか?
なんというか、こう体中にちょっとした電流が流れているような感じで
無性に「うぉー」とか「あぁー」とか叫びたくなりませんか?
感動に心が押しつぶされそうになってもう「すごい」としか言いようがなくてどうしようもないあの気持ち。


友達は、TVや漫画に影響されやすいよね。なんて言うんです。
たしかにそうだけど、そうじゃない。
言葉に出来ないのが悔しい。分かって欲しい。


この気持ちの答えを探しにみよしはアニメ部を訪れたんです。(たぶん)


そこで出会った部長やアニメに詳しい美少年コジマくん、生徒会長、KYなオタクの典型みたいなやつ
なんかとの会話の中で答えに至るヒントを得るのです。
「理屈じゃなくて、ただ単純にすごいと思った。それでいいんじゃないですかね。」
そう、それで良いじゃん。言葉にしなくても。すんげーんだよアニメってさ。


そしてアニメを作ることを提案するみよし。
実はこれが答えだったのですよ。

アニメを作ろう!そう思ったとき。あの何ともいえない感動。
うずうずの正体が明らかになったんです。
自分もこんなアニメを作りたい。
自分もこんな風に人を感動させるようなものを作りたい。
そんな想いこそがうずうずの正体だったのです。


 数年前、僕は一人で電車に乗って四日市のちっちゃな映画館に行きました。
そこで見たのは細田守監督『時をかける少女』。
あのとき、あの小さな劇場の中はすごい一体感でした。
平日の昼間で客数は少なかったのですが
車いすに乗った若い男性とその付き添いの女性2人、50代ぐらいの夫婦、当時自分と同じくらいの女子高生、子供連れのお父さん。
全員覚えてます。あの時、僕らは全員が夢中に為ってスクリーンに魅入ってました。
本編が終わり、エンディングが始まっても誰も席を立ちませんでした。
みんながみんな奥華子さんの『ガーネット』を聴きながら感動していたんだと思います。
エンディングも終わり、席を立って帰るとき、僕はこんな風に思ってました。
あぁ、このみんなと時かけについて語り合いたい、み〜んな僕の友達さぁ〜。
誰でも人を愛せましたね、あの瞬間は。
まぁ、声をかける勇気もなくて一人寂しく帰ったわけなんですけれども。


あのあとの1週間はもう余韻でやばかった。自分もこんな作品が作れたら。
僕は漫画をたくさん読むようになったのも最近だし、アニメも全然詳しくない。絵も描けないし技術的なことは全く語れないんです。
アニメ制作に携わるような仕事がしたい、とも思いました。(ほんっと影響されやすいんですけど)
まぁ結局受験やらなんやらで言い訳して絵を描く練習をすることもなかったんですけど。


良い物は良い、言葉にして誰かに伝えたい、なんて思っても
とりあえずウィキペディアとかを見て監督の名前を調べて細田守すげーとか、原恵一は神だとか
そういうことを言うことしかできない。それが悔しくてたまらない。
あのすごさを伝えることも出来ないし、自分にあんなものが作れるとも思えなくて
ちょっと鬱になってました。


今はさすがに立ち直りましたが、それでもやっぱり何かを作りたいって気持ちは強く残ってます。
今このブログをやってるのもそのせいです。


自分はアニメ作成に関しては諦めましたが、
自分が出来なかった事をこの『ハックス!』という作品、みよしという主人公を通して感じていけたらなぁ。
そう思って読んでます。


すごく面白い!


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